北欧、動き回る

初めての北欧、デンマークノルウェーに行った。

今回の旅のテーマの1つは前に話したように「北極に行く」ことだった。それが大きなテーマだったけど、もう1つのテーマは北欧を存分に味わうことだった。

旅にはテーマが必要だ。テーマがなければ、観光ガイドブックをベッドの上で読んでいるのと変わらない。旅というのは、見たいものを見て、食べたいものを食べて、はじめて価値が出てくる。

僕は計画をするのはとても苦手でほぼしないけど、テーマはある程度決めて旅行に挑んでいる。

今回は小さなテーマがいくつかあった。 フィヨルドを見ること、デンマーク家具を見ること、カフェでなんとなく時間を過ごすこと、ヒュッゲを体感すること、それが北欧でやりたいことだった。

比較的自由が効くとは言え、一応社会人で、仕事をサボって何週間もフラフラできるような身分でもないから、限られた時間で見たいものを見る必要があった。

旅の期間は10日間で、そのうち何日かはリモートで仕事をしなきゃいけなかった。

旅の計画

土曜の昼を潰し、旅程を考えた。

まずデンマークコペンハーゲンに行く。コペンハーゲンから始めるのは、たまたまマイルで 東京 ↔ コペンハーゲン の直行便がとれたからだった。

それからノルウェー・ベルゲンに飛ぶ。鉄道・フェリーを利用して、フィヨルドを見つつ、オスロまで鉄道で移動する。

オスロで仕事をいくつか片付ける。そして、ロングイェールビーンに行く。なんとかしてコペンハーゲンに戻る。

地図に描くとこんな風になる。ロングイェールビーンはあまりに北にあるので地図に収まらない。

デンマークコペンハーゲン

東京を出発した飛行機はロシアとアラスカの真ん中を通る孤の上を飛び、デンマークコペンハーゲンに着いた。

スカンディナビア航空の機内食で出てくるパンがモチモチで美味しい。客室乗務員も優しいおばちゃんとおじいちゃんという感じで、居心地が良かった。

コーラ500円の衝撃

コペンハーゲン空港到着後、街中に移動した。なんとなくセブンイレブンに入ったところ、ペットボトルのコーラ1本が約500円して衝撃を受けた。

はじめは、見間違いか、為替レートの計算間違いか、と思った。何度見てもコーラは500円(26デンマーククローネ)した。

Twitter にも書いたけど、ハンマーで頭を殴られたような衝撃だった。物価の暴力を感じた瞬間だった。物価が高いとは聞いていたけど、ここまでとは思っていなかった。

なんでこんなに高いのか?

円安、インフレ、そもそも物価が高い、消費税が高い、などあるが、答えはその全部だ。そのすべての要素が積み重なって、1本500円のコーラとしてエッフェル塔みたいにそびえ立っている。当然スーパーに行くとセブンイレブンよりかは安いが、それでも400円近くする。

コーラだけじゃなくて、ビールも高いし、サンドイッチも高いし、宿泊費も当然高かった。デンマークだけでなく、ノルウェーでも物価は高かった。

しかし、呼ばれてもないのに勝手に他人の国に来て、物価が高いだのどうのこうの言うのは良くない。僕たちはあくまで国に入れてもらって、お金とビールを交換させて頂いている立場だ。

そう信じこんでからは、価格を受け入れるのが少し楽になった。

しかし、フードコートでオープンサンドとワインを頼んだだけで3000円はするし、朝にカフェでアボカドトーストとコーヒーを食べただけでも3000円はする。ビール1杯でも1500円する。痛みを感じなくなるまでには少し時間がかかる。

スモーブローと白ワイン

超豊かな田舎町

コペンハーゲンと聞いて、モダンな大都市を想像していたのだけど、実際街づくりを見てると田舎町というような雰囲気がする。

街の作り方や土地の使い方にゆとりがある。どの道路もとにかく広いし、自転車レーンもついている。

街中の広告の類が少なくて、町中なのに景観がなんというか田園っぽい感じに見える。

自転車がとても多くて、学生時代に住んでいた京都、特に大学周辺の交差点を思い出した。

自転車フレンドリーの街と聞くと、住みやすいイメージがあるけど、実際道を歩いているとあまりに自転車の通行量が多くて圧倒される。タイやベトナムのオートバイの大群ほどではないけど、それに近いものを感じる。

田舎町ではあるけど、やはり先進的で豊かさを感じる。いたるところで無人化・機械化が徹底している。

地下鉄の電車には車掌も運転手もいない。駅にも駅員はいなかった。

完全に人がゼロにできないような部分でも、パワフルな機械を活用して少人数で回す仕組みをつくっているように見えた。

たとえば、空港の手荷物検査レーンで、日本や他の国だと2人か3人で対応しているような検査でも、1人で対応できるようにデジタルディスプレイでの案内表示をうまく作ったりしている。

キャッシュレス決済も当然進んでいて、滞在中は1クローネも現金を使わずすべてカードで支払いができた。

あと、街中がなぜかとても静かだったりする。地下鉄に乗っていて、乗っている途中の音がとても静かで驚いた。機械の静音性をすごく重視して運用しているように感じる。

パン屋でももちろんカードで支払える

勝手にヒュッゲ

どこに行っても優しい雰囲気の椅子・テーブル・ソファがあるのがちょっと嬉しい。

細かい箇所に小さな喜びを感じられる体験が多かった。彼らにとっては当然で喜びですらないのかもしれないけど、勝手にこれがヒュッゲ(生活のなかの小さな喜び)だと思うことにした。

まず驚くのはベーカリーのパンがどこも美味しい。セブンイレブンのパンですら美味しそうに並べられている。

セブンイレブン パンコーナー

どんな場面でもモチモチのパンを出さなきゃ失礼だと思っているのだろうか、どんなお店でもモチモチのパンが出てくる。

コーヒーも総じて美味しい。ベーカリーでついでだから頼んだコーヒーですら、しっかりちゃんと香り高い。北欧は別にコーヒー豆の産地でもなんでもないわけで、素材にはそれほど不利な点はないはずだから、日本でももっと頑張れるよな、と思った。

ノルウェー・ベルゲン

コペンハーゲンを何泊か楽しんだあとは、フライトでノルウェー・ベルゲンに移動する。

ベルゲンは観光都市にしてノルウェー第2の大都市なはずだけど、こじんまりしていて、多少豊かで綺麗な港町という雰囲気がある。

街の中心部はかなりコンパクトで、見どころはすぐに回り切ってしまう。港を一通り歩いたあと、市場ででかいサーモンを見学したりした。でかい魚を見るといつだって元気な気持ちになれる。

仲間と一緒にテラス席でビールを飲みつつゆっくりするような楽しみ方をしている人々が多かった。

一人だと特にやりたいこともなかったので、緊急トレッキングをすることにした。山の上までいく電車もあるけど、ノルウェーの森に興味があったので、自分の足で山を登ってみることにする。

道があまりよくわからなかったけど、整備された坂をひたすらに登りまくった。高台まで登ったけど、景色は思ったよりも平凡で、特に印象に残っていない。

よくわからないまま歩いていると、最終的に美しい静かな湖に到着した。夢みたいな湖だった。理想的な風景を見ると、「夢みたいな」という表現ばかり使ってしまうけど、本当に夢みたいな湖だった。家族が湖で泳いでいて、素晴らしい休日を過ごしていた。

フィヨルドの質量

ベルゲンには1泊だけしてソグネフィヨルド観光に行く。

旅程を考えるとき、モデルコースを参考にする。参考にした上で、何泊とか過ごす時間に関する部分は無視している。「2泊3日は必要」と書いている場合には、1泊だけにする。そうじゃないと、退屈してしまう。動き続けないとそこでゲームオーバーだ。

早朝にベルゲンの駅から鉄道に乗って、ソグネフィヨルドを眺める旅に出る。

チケットは、鉄道・バス・フェリーがセットになったパッケージをオンラインで購入していた。

鉄道とバスに乗って山の中の小さな町に移動し、そこからフェリーに乗ってまた小さな町に移動する。

静かな水面と壁みたいな山をずっと見ているだけで楽しい気持ちになる。移動時間は長かったけど、現実感のない景色に圧倒されて飽きが来なかった。

電車の窓から見た水面がとても静かで、鏡のように岩山を反射していて、それがとても綺麗だった。

高校生のとき、地理の教科書で見ていた景色が、目の前に360度、空間として広がっていた。本物のフィヨルドは、知識として知っていたよりも大きくて、存在感、質量感もとても大きかった。地球のものというより、小惑星か違う惑星の岩のようにも見えてくる。

朝から動き回り、フェリーがまた小さな町に着いたあと、眠さが限界になって昼寝をしていた。緑色の生きた芝生の上で、夢みたいな昼寝をした。

ベルゲン鉄道

ベルゲン鉄道に乗って山を降りる。ベルゲン鉄道は世界一美しい鉄道とも言われるらしい。オレンジ色の車内の窓から山々の景色をぼんやり眺めていたのを覚えている。夢みたいな昼寝をしたあとだから記憶がぼんやりしている。

列車は停まって、至近距離に滝が現れる。音楽とともに、女性ダンサーによる謎のダンスパフォーマンスがはじまる。

ベルゲン鉄道 車内

町なのかすらよくわからない山の谷間の駅で乗り換えて、オスロに行く。

ノルウェーの半島の山を横切るようにして、進んでいく。凍った湖と赤い小屋が見えた。

オスロその後

オスロでは朝、シナモンロールとコーヒーを飲んで、ノートパソコンで仕事をして、仕事が終わったら散歩をするような日を何日か送った。仕事が終わったあとの時間も明るいのは嬉しい。

街を歩くだけで、それといって観光はしていないけど、ノルウェー国立博物館には行った。

食べ物はサーモンとイモ、 飲み物はアクアヴィットを飲んだ。食べ物はサーモン以外はこれといったものはないが、サーモンが美味しければ文句は言えない。

オスロはコンパクトながらモダンで建物が多くて、居心地の良い都市だった。機会があればまた少し長く過ごしたいなと思った。

オスロ・オペラハウス

前回の記事にも書いたように、オスロからはロングイェールビーンに向かった。

uiuret.hatenablog.com

ロングイェールビーンを深夜にでて、オスロでトランジットして、またストックホルムでトランジットして、コペンハーゲンに戻った。

コペンハーゲンでは、最後の夜なので、クラフトビールを飲みに行った。夜といっても、真昼のように明るかった。

旅の終わり

今回の旅のテーマについては、一通り見て感じることができたから満足感がある。限られた時間の中で動き回ることができたのも嬉しい。

当然、すべての観光ができたわけではない。けど、旅行先では見たい場所が少し残ってるくらいがちょうど良かったりする。完全にすべてを見てしまうと、次に来る理由がなくなってしまうからだ。ノルウェーでもデンマークでも見残したものはあり、もっと見てみたいものがまだある。それくらいがちょうどいいと思う。

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北極に行く

世界最北の街・ロングイェールビーンに行った。この街はノルウェースヴァールバル諸島にあって、北極圏の中にある。

北極点の周辺の大半は海で、南極と違って大陸がない。なので、北極の定義は色々あるけれど、北極圏の中でも最北の街なので北極と言える。

きっかけは、いつだって意外なほど単純だ。いつものように、仕事終わりに Google フライトを見ていた。僕には、疲れ果てたとき Google フライトを開いて地図を見ながら次の旅を夢想する癖がある。

ヨーロッパ行きのお得な飛行機でもないかと探していたとき、マップの上の端、はるか上の端に空港のマークを見つけた。

Googleフライトで思い切りズームアウトするとロングイェールビーンは現れる

それが名前も知らなかったその街を見つけたきっかけだった。その街はちょっと特殊な条約によって滞在するのにビザがいらないらしい。労働ビザもいらない。

引退後の理想の住処を探すのをテーマの一つに旅行をしている僕にとって、なかなか良いかもしれない。その後、たまたま仲間が見つかったこともあり、最北の街に飛ぶことになった。

世界最北の街・ロングイェールビーン

ノルウェーオスロから、トロムソという北極圏の小さな街を経由して、ロングイェールビーンまで飛行機で飛んだ。

東京からデンマークコペンハーゲンに飛び、そこからデンマークノルウェーを楽しんだりしたんだけど、その話はまた別の機会にする。

空港に着いた瞬間から普段とはまったく違う景色が広がっていた。空港の滑走路のそばに、壁のような山が立っていて、露出した岩肌がとてもダイナミックだった。

空港からはバスに乗り、バスは中心街を経由して、ホテルまで連れて行ってくれる。

北極シティライフ

実際に来るまでは、寂れた村を想像していた。想像の中では、薄暗い色の家が立ち並び、娯楽と呼べるものはほとんどないようた陰気な村だった。

実際に来てみると、綺麗で豊かなスキーリゾートの街といった感じの雰囲気で驚いた。北欧スタイルの明るい色の建物が立ち並んでいて、道なども割ときちんと整備されている。日本で同じ街があるとすると、かなり良い冬のリゾートだと思う。たった人口500万人程度の国の、本土から遠く離れた北の島にある街だとはとても思えない。

まず、大きくてモダンなスーパーマーケットがある。日常生活にはまったく困らないほどの品揃えがある。日本でもこれだけ大きくて充実したスーパーがある街は少ないと思う。少なくとも僕の東京の自宅周辺のどのスーパーよりも広い。

食料品だけでなく、日用品や電化製品も手に入るし、何なら iPhone も売っている。

この街最大にして、世界最北のスーパーマーケット

酒屋の品揃えも素晴らしい。ここは北極の天国だと思う。消費税も酒税もかからないから、日本での価格と比べてもお手頃な感じもする。

レストランもカフェもバーもあるし、日本食レストランもある。 カフェでパンとコーヒーを買って散歩したり、レストランでタラのグリルと鯨のスライスハムをローカルビールとともに食べた。

世界最北の街では、何をやっても世界最北の体験になるってことが楽しい。世界最北のスーパーマーケットで買い物をして、世界最北の寿司を食べた日もあった。素晴らしい1日だ。

物価

物価はノルウェー本土と比べるとほぼ同じくらいだった。オスロコペンハーゲンを経由したが、それよりも若干お手頃に感じるほどだった。

北の辺鄙な土地にあって、輸送費も高いはずだけど、消費税などが無税なのでその分お得になっている。

スーパーだと、コーラペットボトルが 20 NOK(約260円)、ビール缶が 15 NOK (約200円)、良いビールが 50 NOK (約660円)

レストランだと、ビールが 70 NOK (約930円)、ハンバーガープレートが 220 NOK (約2900円)

レストランの食事はどこも美味しかったし、場所を考えると値段に対しての満足度はかなり高かった。

北極リモートワーク

ではインターネットはどうなの?と思うかもしれない。まったく心配はいらない。空港に着いた瞬間から5G電波が繋がっていたし、基本どこでも Wi-Fi がある。

すごく速いわけではないけど、リモートで仕事するのには支障がないくらいの速度はでていた。

数日間リモートで仕事をしたけど、特に問題はなかった。カフェにだってフリーWi-Fiがあるから、気分転換に出かけることもできる。ホテルのラウンジが快適で、無料のコーヒーも飲み放題だったので、そこで作業をすることが多かった。

北極キャッシュレスライフ

あとはクレジットカードがどうなのかだけど、街のあらゆる場所でカードが使える。むしろ逆で現金がほぼ使えない。島自体に銀行やATMが1つもない。現金を下ろすことすらできない。

ある意味、究極のキャッシュレス社会だった。現金を使うことが許されない社会。おかげで1ノルウェー・クローネも現金を使わずにすべてMASTERカードのコンタクトレスで決済できた。

とにかく壮大な自然

街の中心から少し移動するだけでとにかく壮大な自然が広がっている。

中心街から徒歩で20分(公共交通機関は事実上なし)という辺鄙な場所に宿をとったおかげで、壮大な風景を存分に楽しむことができた。

空間がとにかく広い。木も畑もなにもない。山の上には雪がかかっている。目に見える動物も、人間とたまに歩いている白トナカイくらいだ。どことなく別の惑星にいるような気分になる。

行ったのは6月下旬だったが、意外にも寒くなかった。風が吹いて身体が冷えるタイミングはあるけど、基本的に日の光が当たって暖かく、薄手のジャケットがあれば十分だった。

日本でバックパックにコートを押し込んできたけど、今回は必要なかった。仮に必要でも街のアウトドアショップでいくらでも買えるので、それでよかったかもしれない。

宿の名は Coal Miners' Cabin と言う。炭鉱夫の小屋だ。元々近くに炭鉱があり、そこの炭鉱労働者が寝泊まりするために建てられたバラックだったらしい。たしかに、山の斜面を見てると炭鉱跡らしきものがある。

名前の割には小綺麗だし、ロビーは居心地がよく快適で、シャワーの水圧も思わず声が出るほどグッドでポイントが高い。

宿は街の山側の端にあり、その先には文字通り何もない。緩やかに雪山へと続いている。

白夜の暴力

一日中とにかく乾燥していて、とにかく明るい。夏の北極は白夜だ。日が沈まない。

iPhone の天気アプリを見ると、日没は「7日後以降」と表示されていた。初めて見る表示でびっくりする。明日は明日の日が昇るという常識はここでは通用しない。

初日、日が沈まないとはいえ、傾いて暗くなるタイミングはあるんじゃないか?と思っていた。実際、夜22時頃になると、太陽が傾いて山に隠れていったタイミングがあった。もしかしたら、暗くなるタイミングでオーロラが見れるんじゃないか。

深夜1時に念のため起きて外を見ると、これ以上ないくらいの快晴だった……。理想の小学校の運動会みたいな天気。

北極 深夜1時

白夜というのは一種の拷問だと思う。過ごすうちに、だんだんと気がおかしくなってくる。遮光カーテンなしには眠れない。途中で深夜に起きると、真昼間のように明るい。時間感覚がバグってくる。

北極の動物は、夜になったら眠るなどといった日に連動したリズムはなく、一日中行動し続けて眠くなったら時間に関係なく眠るらしい。そう言われてみれば、外にいる白トナカイはどういう一日を送ってるのだろう…と思った。

自転車に乗る

街、というか人間が住んでいるエリアはそう広くはないけど、歩くには遠いくらいの広さがある。

観光センターで自転車に借りて街の端を見に行くことにした。東南アジアだったら5秒でバイクタクシーを呼ぶところだけど、北極にはそんなものはないし、あったとしても物価によってべらぼうに高い。

チャリで行く僕

氷河に削られる以外に何も歴史がなかったような原野が広がっている。最果て感がすごい。

スヴァールバル世界種子貯蔵庫があった。人類に危機が起こって農作物が失われた場合に備えて、種子が保存されている。ソフトウェアエンジニアにはお馴染みの、GitHub のコードが保存されている Arctic World Archive もこの近くにある。たしかに、こんなとこまで誰も破壊しにこんわな、という感じはする。とにかく遠い。

Svalbard Global Seed Vault

さらに街の果てまで進む。とてつもなく広大な三次元空間を滑るように移動する。

さらにチャリで空間を進む僕

街の端まで来た。シロクマ注意の標識が立っている。ここから先はシロクマがいるエリアになる。ここから先では、知事によってライフルの携帯が推奨されている。普通の装備で行ってはいけない。ここは人口よりもシロクマの数が多い土地なのだ。ここから先はシロクマが支配している世界だ。

ここから先にはシロクマがいる

なにもないはずの街

なにもないと身構えて行ったけど、意外にもやることがある街だった。綺麗な街だったし、少なくとも夏のシーズンは居心地も良い土地だった。

夜がずっと明るいのは少しつらかった。白夜が苦しませてくれたおかげで、今は日本で毎日夜が来ることに感謝すら感じている。

ロングイェールビーンのことを思い出すと、最果ての景色と北欧の暖かい雰囲気の街、その2つが特に印象に残っている。すごく遠かったけど、一度行けてよかった。

最果て感を味わうには素晴らしい場所だと思う。来るなら次は雪とオーロラのある季節に来たい。

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しばらくバンコクにいた

3月、タイのバンコクにいた。

特にこれといった用事はなく、ほぼ丸一ヶ月間いて普段日本にいるときと同じようにリモートで仕事をして生活していた。

バンコクに行くきっかけはいくつかあるけど、ちょっとした長期滞在をしたくなったのは東京での日常生活が退屈で頭が狂いそうになっていたからだった。

京都から東京に引っ越して5年以上は経つ。幸いにも仕事は変化が多い環境で飽きないけど、それでも生活が単調すぎてなんというか停滞感を感じていた。

その解決策というか救いになるかはわからないけど、日本の冬の寒さに嫌気が刺したこともあって、実験的に海外で1ヶ月くらい過ごしてみることにしたのだった。

海外滞在とリモートワーク

どこかに住んでみるとして、条件として思い浮かんだのは以下だった。

  1. 都市として活気がある
  2. 時差が少ない
  3. インターネットが速く安定している

1番目は個人的な趣味で、残りの2つは日本の会社にリモートで働く前提なので必要だった。

バンコクを選んだのは、都市として活気があり一番イケてる、と感じたことが大きい。

海外旅行が好きなので色々と見て回ったのだけど、結局大都市は楽しい。その中でもバンコクは発展していて、コンテンツにも深さがあり、飽きないなという感覚があった。

時差は2時間でほぼ支障がないし、バンコクの街中だとインターネットは安定している。携帯回線も5Gが通っている。

30日以内であればビザなしで滞在できる手軽さもあった。そういうわけで、逃げるようにしてタイに飛んだのだった。

バンコクという都市にいて、印象に残ったことを書きたいと思う。頭の中に焼き付いている景色のことを考えると、昼と夜両方の映像を同時に思い出す。

光と緑の都市

バンコクに来て一番驚いたのが、緑が豊富でしかも生き生きとしていることだった。道を歩いていると、熱帯植物が自由に葉を伸ばしていて強い生命力を感じる。

緑の多さを見ていると、軽井沢を思い出す。暑い軽井沢。僕がいた3月は暑季でまだあまり雨が降らなくて、昼は日差しが強くてとにかく明るい。

タイというと屋台のイメージが強いけど、バンコクは洗練された都会の要素が多い。

特にカフェが気に入って、狂ったようにバイクタクシーで毎日カフェに通っていた。

滞在期間中ほぼ毎日最低1つ以上新しいカフェに行っていたけど、それでも候補が尽きないくらいカフェの数が多い。

滞在していたサービスアパートから、どこもバイクタクシーで10分以内で行けるくらいの手軽さ。日本では普段土日も家から出ないけど、バイクタクシーがカフェの前まで連れてってくれるので毎日どこでも行けた。

カフェの窓から光と緑を眺めつつ、作業をするのが気に入っていた。

地域にもよるけど、比較的ゆとりのある広さのカフェが多くて、居心地が良い。

どのカフェも Wi-Fi と電源があって、しかもインターネットがなぜかやたらと速い。オンライン会議が多い仕事だけど、ラグは特に感じなかった。Wi-Fiが遅くても携帯の5G回線で十分にスピードが出るから、インターネット接続に関しては日本よりも苦労が少なかった。

Patom Organic Living はまるで熱帯植物の森のなかにガラスの立方体があるような空間で好きだったし、Glig cafe は白を基調とした homey なスタイルのカフェで、長居していて心地良かった。

食べ物も美味しい。辛いものが苦手だけど、問題を感じないくらいバリエーションがたくさんある。

色々とタイ料理は試したけど、一番気に入ったのはクイッティアオ。タイ風のラーメンだといっていい。スープのなかに米の麺と肉が入っている。屋台で食べるような大衆的な料理なので安い。大体80バーツ(約320円)くらい。

部屋で作業するのに飽きたら、Grabアプリでバイクタクシーを呼んで、クイッティアオ屋に行きヌードルを吸い、またバイクタクシーで移動してカフェで作業するような毎日だった。

暑すぎて部屋から出るのもだるいときは、Grab か foodpanda でデリバリーを頼んだ。配達料も30バーツ程度(約120円)。

サービスアパートの部屋は冷房が効いているし、毎日清掃もしてくれるし、ごはんもデリバリーで届く。あまりに快適すぎるので、バンコクに沈没してしまって、ほぼ動くことができなかった。

サイバーパンク・シティ

夜のバンコクは、サイバーパンクSF小説ディストピア都市に似ている。

思いつくものは何だって金で買える。有名なのは買春だけど、男が女を買うことは当然、女が男を買うことだってできる。実質合法化した大麻は、大通り沿いやどこにでもあるその辺のディスペンサリーで買えるし、店舗の数は普通のドラッグストアよりも多いと思う。300万円あれば男性が女性になることもできる。

バイクタクシーの運転手はスマホからの指示に従って休むことなく縦横無尽に走り回る。交通ルールはあるのかないのかよくわからない。A地点からB地点にできるだけ速く移動するのが唯一のルールなのかもしれない。

そんな夜の街を歩くのが好きだった。昼は暑くて日差しは凶暴だから、やや涼しくなる夜にしか散歩ができない。日が落ちて暗くなると、仕事を終えて、近くのお店にガイヤーンやカオソーイを食べに行った。暑くてイヤな日にはビールを頼んで、薄い味のビールを氷に注いでさらに薄くて冷たい味にして飲んでいた。

バンコクには有名なナイトクラブがいくつかあるが、とあるクラブは異様だった。

メインの客層はタイ人だが、なぜか韓国人の男が異様に多い。中国人や日本人などのアジア系や白人はマイノリティだ。黒や褐色系の肌の色の人は特に少なく、Google Maps のレビューには、レイシスト・クラブだ、と書かれている。

K-POPブームで最大の恩恵を受けているのは歌って踊れるBTSではなく、歌うことも踊ることもできない金を稼ぐことにしか取り柄のない一介の韓国人の男だ。

韓国系の男がタイ人の女の子を持ち帰るための施設というような側面があるらしい。彼らはモンクレールだかなんだかのTシャツを着て、VIP席に陣取って山ほどのボトルの酒を飲んでいる。

「異様だよな、なんでこんなに韓国人男がいるんだよ」と話しかけてきた韓国人の青年は言っていた。カナダ・トロント在住で旅行でバンコクに来ていて、前の彼女が日本人だったから日本人が好きらしい。

ナイトクラブが立ち並ぶ通りの名前は、ロイヤル・シティ・アベニューと言う。”王”の名前が付いた通りで爆音パーティーが行われているのは不思議な感じがするけど、そういう寛容さを含めてタイらしいのかもしれない。国王は1年の大半を国外で20人の美女とともに悠々と過ごしているらしい。政治では、クーデター以降、軍事政権が続いている。

深夜2時、バイクタクシーに乗ってホテルに戻る途中、そんなことを考えていた。

終わり

バンコクで1ヶ月過ごした感想を考えると、光と闇の両方を思い出す。

1ヶ月の間、まったくといって退屈が来ることがなかったし、とても過ごしやすかった。

都会の洗練とローカルが融合しているのが好きだった。空調の効いたカフェのゆったりとした椅子も好きだし、路上に置かれた屋台のプラスティック椅子も好きだった。

もちろんすべてが良いわけじゃなくて、水道水は飲めないし、渋滞と大気汚染はひどい。都心で快適に過ごそうと思うなら、物価も今の円安の状況だと日本の地方都市とそう変わらない。

けど、そんなことは気にもならないくらい、昼の美しさと夜の楽しさの魅力がある。また近いうちに行くことになると思う。

歯医者に行けるようになった

こう話始めるのは変な感じだけど、つい最近まで歯医者に行けなかった。

特に学生の頃は、自分の意思で歯医者に通えなかった。今でもある程度そうだけど、あの頃は生活の細かい問題を先延ばしにする癖があった。

当時は電話をするのも怖かったし、前もって予定を決めて予約をするのもできなかったから、本当に歯が痛くて困ったときなどは予約なしで行ける歯医者に行っていた。ホームページもなく、寡黙な男性歯科医が自宅を兼ねた歯科医院でワンオペで治療をしているようなところだった。

耐えられない問題はなんとか治療してもらい、ギリギリ耐えられる問題は無視して先送りにした。

先延ばしにする癖だけでなくて、歯科治療に恐怖心があったことも歯医者に行けない理由だった。意識的なレベルでも無意識的なレベルでも歯医者への恐怖の存在が大きかった。

もっと子供の頃

もっと子供の頃、親に車で連れていかれた歯医者で、あまり麻酔が効かず、前歯から脳の天井まで突き抜けるような痛みを何度か感じたことをトラウマのように今でも覚えている。

当時の僕にとっては、得体のしれない理由で得体のしれない攻撃をされるようなイメージだった。

「痛かったら手をあげて言ってね」と言われて実際手を上げたら「もうちょっと我慢して!」と言われることに人生の不条理さえ感じていたと思う。

当然実際はそんなことないし、歯医者は良いことだってわかっているけれど、当時の僕の主観からはそういう風に見えていた。

僕はまだ幼すぎたし、客観的な分析を細かい生活に適用できるような段階には至ってなかった。

5年以上経った

そして、青春時代・学生時代のような期間は風のように通り過ぎて、5年以上経った。5年どころではないかもしれない。最近は年を数えるのも怖い。

住む場所は京都から東京に移ったが、僕はまだこの歯医者の問題を先延ばしにしていた。

大きな問題が現れたのは、昨年2022年。普段のように在宅勤務していたある日、前歯の裏側と舌が触れ合う感覚に違和感を気づいた。なにかが石のようなものが詰まっているか欠けているかといった感覚で、いくら歯みがきしても糸ようじを通しても違和感はとれなかった。

ついに長らく先送りにしていた問題に取り組む時が来てしまった、と思った。僕は歯医者に行かなければならない。人生にはそういう時があるようだった。

問題解決モード

そういうわけで、歯医者に行かなければいけなくなったが、僕には恐怖心と先延ばしの2つの課題があった。

歯医者に1度行くだけなら意思の力でなんとかなることもあるが持続的でないから、この際できれば継続的に通えるようにしたかった。

つまり、やるべきことは2つだった。

  • 恐怖心を消す
  • 先延ばしと闘う

恐怖心を消す

恐怖心というのは完全に主観の中にしか存在しないものだ。外の世界で恐怖心を探しても地球のどこにも見つからない。

だから、感情のゲームとして恐怖心を攻略することを考えた。歯医者への恐怖心がラスボスで、うまく攻撃を加えてHPゲージを削っていくゲームのようなイメージ。恐怖心は消えることはないかもしれないけど、HPゲージを削って弱らせることはできるかもしれない。

そのなかでうまくいった方法は3つくらいあった。

客観視する

歯科治療を僕という患者の主観を通して見ているから、恐怖が生まれてくるわけで治療行為を客観で捉え直すと恐怖はそもそも存在しなくなるのではないか?

そう思って、歯科治療は一体なんなのか、治療中に歯医者はなにをしているのか、歯の根の奥にグリグリ押し込んでくる物体は一体なんなのか、というのを知ることにした。

こういう思考方法は、僕のようなエンジニアというかオタクにとっては得意なものだ。物事はまず、自分の得意な方法で進めてみる。

小学生が教わるような歯に関しての基礎的な情報収集から始めた。

Google で検索で得られる情報はジャンクが多いので、まず一般書を読んだ。その次に、比較的信頼できそうなウェブの情報ソースをいくつか読んだ。

歯科医のセールストークが含まれていることもあるので、その辺は割り引いて読んで、なにか特定の本を信じないようにした。

一般書だとこういう基本的なことから書いている本を読んだ。

歯医者が教える 歯のQ&A大全 | 小谷航 | 家庭医学・健康 | Kindleストア | Amazon

厚生労働省がウェブに出している情報も参考になった。

www.e-healthnet.mhlw.go.jp

情報収集をしていると、だんだんとエンジニアの仕事との共通点が見えてきて、歯科医に近い目線で自分の歯を見れるようになってきた。基本的にやるべきことをやるしかないから、やるべきことをやるという視点からすると恐怖は現れない。

怖くなさそうな歯医者を選ぶ

情報収集をするだけでなくて、実際の行動をしないと問題は解決しない。

物事を進めるには、星の数ほどある歯科医院のなかから1つ選んで行かないいけない。

あくまで目的は恐怖心を和らげることだった。

まず、Google Maps でネガティブなレビューが多いところは避けた。レビューは信頼できるとかどうとかというわけでなく、単にネガティブなレビューがあることが僕の不安を増幅するからだった。

過去に行っていた歯医者が歯科助手に当たりが強く、叱っているのを見るのが嫌で、通院ができなくなってしまったことがあった。できるだけ通えなくなる要因を潰したいという理由もある。

2つめに、設備と機械で選ぶ。ある程度新しい設備が導入されている歯科医院を選んだ。人間は誤る生き物だから信頼できないが、機械は信頼できる。歯科医がどれだけ疲れていても、適切な機械の支援があれば誤りのリスクは減らせる。機械が揃っているのを見ると不安も若干和らいだ。

3つめに、大切だと思ったのは選びすぎないということ。僕のようなタイプの人間は、最適でベストな選択肢を選ぶために情報収集に時間を使いすぎる傾向がある。その上、ベストな選択肢が見つからないと、選択することを放棄してしまう。

何もしないよりも、ほどほどの選択肢を選んだほうが遥かに良い。選びすぎることを避けるために、情報収集をする時間にタイマーである程度制限をかけたりして、その時間が過ぎたら決定をするように心がけている。

音楽を聴く

僕にとってのブレイクスルーは、治療中に Airpods で音楽を聴けることだった。この発見は人類にとってのアメリカ大陸の発見にも相当するといっていいと思う。

過去に歯医者に行っていたときは、ワイヤレスで小さいイヤホンがあまり普及していなかったから、気持ち的に装着しにくい感じがあった。

治療中にドリルの轟音に対抗するために爆音で強めのヒップホップを聴いたり、Podcast を聴けるようになってずいぶん気持ちが楽になった。

今では、仕事の気分転換として Podcast を聴きに歯医者に行くか、という気持ちになっていて、歯医者に通うモチベーションにもなっている。

先延ばしと闘う

恐怖心については色々書いたけど、先延ばしについてはやったことは基本的に1つで、徹底的にTODO管理をする、ということだった。

全体の問題をできる限り小さく分けて、それを1つ1つTODOアプリに登録しておく。

たとえば、今回だと、歯科治療の情報収集する、歯医者を選ぶ、歯医者を予約する、という風になる。

タスクを先延ばしにしていることに気づいたら、タスクをさらに小さく分割して、やる気が最小でも実行できるようにする。

今日できることは今日する、というマインドをよく利用している。過去に予約などに失敗していたときには「明日する」というアルゴリズムで動いていて、その結果永遠に予約できないことがあった。

東京の歯医者はネット予約に対応しているところが多いので、電話がとにかく苦手な僕にとっては予約はかなりしやすく、今日できる予約を今日するを実践しやすかった。

言葉の空中戦

これである程度の問題には戦えるようになっていたけど、すべての恐怖心・先延ばし・その他の感情が消え去ったわけではない。

いくら客観的に問題をフレーミングしても、主観と恐怖はやってくる。

こうなってくると、主観の問題だ、感情のゲームだ、と思って、頭のなかで言葉で闘うしかない。

脳内での言葉の空中戦が行われているイメージに近い。歯医者に行きたくない気持ちに言葉の銃弾を撃ちまくるイメージを持っていた。

たとえば「たぶん痛いから歯医者に行きたくない」という気持ちが出てくると、”No pain, No gain” という言葉を自分に投げかけて闘ったりしていた。こういうときにパンチラインを引用して、自分の気持ちと闘えるので、ヒップホップを聴いていて良かったと思う。

「健康はレバレッジが効く」という言葉も有効だった。呪文かなにかのお経のように、健康はレバレッジが効く…健康はレバレッジが効く…と唱えていた。なぜなら健康はレバレッジが効くからだ。

最終的に「恐怖に打ち勝つためには恐怖の中に入り込むしかない」と自分に言い聞かして、歯医者に向かった。ブルース・ウェインは、コウモリの巣に入り、恐怖であったコウモリに向き合うことによって恐怖に打ち勝ち、恐怖それ自体と同化してバットマンになった。それとは全然次元の違う話ではあるけど、こういうことを頭のなかで考えていると気は和らぐ。あくまで主観と感情のゲームだからだ。

その後

普通の人は何も思うことなく普通に歯医者に通えるんだろうけど、僕の場合はこのように精神力や仕事で培ったスキルをフル活用してなんとか歯医者に通えるようになった。

歯医者にしばらく毎週通い、一通り問題をなおしてもらった。はじめ歯医者に行ったときは、前歯の裏が欠けてるだけだと思っていたが、全然そんなことはなくて、色々な問題を思い出したり見つけてもらったりした。奥歯の歯茎が腫れて耐えられないほど痛くなってたりしていたこともあったのだけど、その問題も自分では忘れていた。

今では、歯のクリーニングに3,4ヶ月に1回、定期的に通うようになった。保険適用1回3000円で虫歯のチェックをしてくれて、ついでに歯がツルツルになる。3割負担でこんな良いサービスが受けられるのは制度がバグっているとさえ思う。健康はレバレッジが効くから、ふるさと納税なんかの比ではない。

最近では、差し歯を交換したいと思って、自分の意思で新しい歯医者に通えている。円安だから米国株式と比べて相対的に日本の医療が安いのではと思って、株式ではなく健康に投資しようと思っている。なぜなら健康はレバレッジが効くからだ。

僕はこうやって歯医者に行けるようになった。普通の人にできることができない誰かの参考になると嬉しい。

オンライン会議では人と被って話してもいい

意外と気づかれてないかもしれないけど、Zoom や Google Meet などでのオンラインミーティングでは人が発言している途中で話してもいい。

なぜかというと、オンラインで通話するとき、参加者はほとんどの場合イヤホンを装着していて音が干渉しにくいので、同時に被せて発言しても聞き取ることができるからだ。
多人数での場合は発言者以外は聞き取りにくいケースも当然あるけど、少なくとも1対1で話しているときには被せて話していい。

質問の途中で話しまくる

このことに気づいて以来、質問の途中でフルセンテンスが明確に予測できる場合は、相手が発言している途中でもこちらから回答を話しまくっている。
音声通話では、考えながら話す上に丁寧であることを求められることがあるので、書き言葉と違って無駄な言葉が多く冗長なことが多い。

たとえば、文脈として確認事項があったとすると「XXの点についてですが、この点は御社…」という時点で「この点は御社側としては問題ないでしょうか?」と予測できるので、途中で「問題ないです」と答えることができる。

特にインターネット回線が悪く遅れがある場合、相手の質問のフルセンテンスを聞き取り終わるのを待っていると、コミュニケーションに時間がかかる。単に待つことをやめることによって、時間を節約できる。

失礼なのでは問題

相手が話している途中で発言するのは失礼なのではないか?」と思うかもしれないけど、個人的には相手の時間を無駄に奪うほうが失礼だと思っている。

ちなみに、意図せず相手と話しているのが被ったときには気まずく思う必要はない。インターネットやシステムの事情で起こりうるから、人間の問題ではなくシステム側が悪い。
気まずく思う必要はまったくない。

広まってほしい

仕事で外部の人々とオンラインで話す機会が増えたので、このことが広まってほしいと思って書いた。

僕と通話する機会があれば、どんどん話している途中で遮って発言してください。

2022年 強さへの旅

2021年に続いて、この1年間でやってきた訓練について振り返りたいと思う。

uiuret.hatenablog.com

2022年は継続性がテーマだった。2021年で獲得した習慣を継続していき拡大していくかを意識して取り組んでいた。

運動

2022年一番成功だった投資は、間違いなくパーソナルトレーニングだと思う。

昨年でジムに通う習慣ができたので、今年はその活動を拡大してフリーウェイトを使った筋トレを実験的にやってみることにした。最初に正しいフォームを習うのが重要だと聞いていたので、パーソナルトレーナーを雇うことにした。Googleマップで近場のパーソナルジムを探して、週2回、1ヶ月ほど通った。

やってみる前は、筋トレなんてのはゴリラになりたい人がやるものだと思っていた。僕みたいな一日中パソコンをペタペタ触るだけが仕事の人間が、発達した胸筋を持つ意味なんてあるか? そう思っていた。

実際やってみると、筋トレは理解し難いほどに強力で、効果的だった。特にバーベルを使うウェイトリフティングは強烈な体験だった。身体面とメンタル面両方に効果があった。

まず、高強度のトレーニングは時間効率が良い。短い時間で、確実に筋肉に刺激を加えることができる。

もう一つ、ストレスや不安を吹き飛ばすことができる。生きているとどうしようもなく不安がやってくる。朝起きた途端から不安に包まれていて弱々な自分になってる日もある。そういうときにジムに行って重りを上下させる運動をやるだけで、不安の一部が空気中に溶けて消えていく。

パーソナルトレーニングで筋トレのやり方をインストールしてもらって以来、週3回ジムに行き、重りを上げ下げし、プロテインを飲む生活を続けている。月曜・木曜・土曜の朝ジムが開くのと同じ時間に行く習慣にしている。

最初に比べれば、ずいぶん身体も変わってきた。見た目がすごく変わったというほどではないけど、身体の変化に自分ではかなり満足感がある。旅行で重い荷物を持って動き回っても疲れにくくなったりなどの効果も感じる。

ただ、メインの効果はメンタル面の安定だと思う。当然不安でどうしようもなくなったり、心が弱々になったりすることはあるけれど、頻度は減ってきた。仕組みは一切わからないけど、理解し難いくらいの効果がある。

計測が大切なので、3ヶ月に1回 in body という体重計で筋肉量や体脂肪量などを計測するようにしている。Google カレンダーに計測日を登録してその日に計測している。

今年一番嬉しかったのは、生まれて初めて懸垂ができるようになったことかもしれない。

パーソナルトレーナーに教わって「やってみたらできた」という感じなんだけど、それでもまるで背中に翼が生えて飛べるようになったような感覚があった。以前の自分よりももっと自由になれた感覚。はじめて自転車に一人で乗れたときの感覚に近いかもしれない。

英語

スピーキングを中心に強化していた。今年は、思ったことを話せないもどかしさをなんとかしたい思いが強かった。

練習方法は以下の記事に書いた通りで、ここからはほぼ変わってない。徹底的な反復練習 + そのための素材を小さな労力で作るシステムのセットで運用をしている。

uiuret.hatenablog.com

今年はそれに加えてオンライン英会話をやった。昨年やった時間も含まれているけど、トータルプレイ時間は10000分を超えたくらい。DMM英会話のネイティブプランで東南アジア在住のアメリカ人達と話し続けた。

スピーキングがむずかしいのは、一定のレベルを超えると、成長の停滞が長く感じられる期間がやってくることだと思う。

停滞したモチベーションの低下を感じたときには、逆に投入時間量を増やす作戦が効いた。具体的には、1日25分 を 1日25分 x 2コマ に増やした。そうすると、成長を感じるまで時間が短くなって、モチベーションが高まり継続がかなりしやすくなる。停滞しているように感じているだけで、実際には経験値は蓄積されていてレベルアップまでに時間がかかっているだけなので、シンプルに練習量を倍にするとレベルアップが早くなる。

思ったことを英語で自由に流動的に話せる、といった感じのレベルには到達できてないけど、話すときのスピード感やフルセンテンスで質問に答えるスキルはかなり高まった。

現在、このスピーキングの練習はストップしている状態になっている。数ヶ月前に、それなりの満足感を得てしまってそれから継続しなくてもいいかな、という気持ちになってしまった。またどこかのポイントで再開したい。

昨年に続いて、Anki による英単語暗記も継続していた。今年は1日も欠かさず毎日フラッシュカードの復習をやった。2日欠けてるように見えるのは、海外旅行のときにタイムゾーンが変わった影響。

ある時期は単語集の知らない単語を Anki に毎日突っ込んでやっていたり、他の時期はただ単にWebサイトで知らない単語を見たときに記録していた。

まだ Kindle で洋書を読んでいるとちらほら知らない単語があったりするし、知っている単語でも違う文脈でてくると即座には意味がわからなかったりする。

その他

今年はプログラミングについても積極的に取り組んでいた。Rustを学んで趣味のWebアプリを作ってみたり、仕事で使うためのOSSライブラリを作ってみたりしていた。それなりの時間量は投入したけど、大きな成果はまだできていない。

その他もあまりうまくいかなかったことがあった。

もっと頻繁に文章を書いてブログに投稿したいなと思って取り組んでいたが、あまりうまくいかなかった。目標は1ヶ月に1記事書くことだったけど、結果は6記事程度だった。習慣化するために今も試行錯誤している。

海外旅行に行く前に、集中的に外国語を学ぶのに挑戦していたけど、練習量が足りずそんなにうまくいかなかった。

韓国旅行前の1週間でハングルを練習したり、スペイン旅行前の何週間かでスペイン語を練習したりしていた。何も知らずに行くよりは楽しい体験ができたけど、実用性はなくて現地では英語や日本語のほうがスムーズなことも多かった。

やはり長期間にわたって継続するのはむずかしい。旅行などランダムで非日常なイベントが来ると、習慣は壊れやすい。

今年は旅行に行く機会が多かったので、何度も習慣が壊れそうになった。非日常が終わった瞬間に、速やかに習慣に戻ることを心がけていた。海外旅行から日本に帰った日が月曜なら、どれだけ疲れてても帰宅した直後にジムに行った。一度壊れた習慣を直すのはそれよりも遥かにしんどいということを知っていたからだ。

まとめ

2022年は運動と英語学習の継続を目標に取り組んで、実際に継続して目標はおおよそ達成できた。特に運動・筋トレで成果が大きかった。

継続という意味では安定してきたので、次は新しいことに挑戦していけるといいなと思っている。

2023年に続く。

紹介する本にアフィリエイトリンクを貼っている

本を他の人に共有するとき、Amazonアソシエイトアフィリエイトリンクを使うようにしている。

ブログで紹介するときはもちろんとして、Twitter に書くときも社内の Slack で共有するときもアフィリエイト付きのURLを貼るようしている。

理由は、紹介した本を買ってくれたのがわかると嬉しいからだ。レポート画面でリンク経由で何冊購入されたかが見れる。

当然、紹介料が Amazon ギフト券で入ってくるので、小遣い稼ぎになるというのはあるけれど、ほんとに中学1年生の小遣い程度にしかならないので大きな理由にはなっていない。

自分が共有したことで、人に良い情報が伝わったかを計測するのには、アフィリエイトリンクが一番手軽な方法だと思って続けている。

本の感想

本当は、本を買ったあとに実際読んでくれたことまでわかればいいんだけど、それはわからない。ときどき直接感想を聞かせてくれることがあるけど、そのときはとても嬉しい。雑な感想でも突然のDMでもどういう形でも嬉しくて、どんな単純な感想でも学びが多いと思っている。単純な感想ほど本質を射抜いていることもある。

他の人の感想を聞くと、いかに自分が本を浅くしか読めてないかに気づかされる。

読むことに時間をかけている割に、本筋と離れている面白い一節だけをサンプリングして覚えておくような読み方しかしてないから、反省をよくしている。

古代ローマに関する本を読んでも、「約束どおりにカルタゴにもどったレグルスを、カルタゴ人は、丸い籠 の中に押しこめ、それを象たちがフットボールするというやり方で殺した。」みたいな一節だけをハイライトして、本筋の話をほとんど忘れるような知的生産性がゼロの読み方をしている。

実績

2022年は紹介料は全体で2万円程度だった

僕も仕組みはよくわかってないけど、メールでその月から何ヶ月か遅れて Amazon からギフト券が送られてくる。夢は紹介料だけで普段の本の購入費用をまかなうことだけど、その話でいうと大幅な赤字になっている。

一番買われた本は

だった。

結局皆お金のことしか考えとらんのか…という気もしてくるが、それは別の話になる。

ツイートで紹介することもあるし、ブログ記事の中でまとめて紹介することもある。

uiuret.hatenablog.com

肯定

他の人、友達、会社の同僚ももっと皆アフィリエイトリンクを使うといいと思っている。

コソコソ小銭稼ぎしているようで後ろめたい気持ちになるというのはわかるけど、クソデカ外資大資本の取り分になるよりは個人に収益が配分された方がいい。リンクを作るのにも手間はほぼかからなくて、ツールバーで2クリックでリンク生成できる。生成されたリンクは短縮URLになるから目にも優しい。

アフィリエイトリンクを常に使うようになってから、本の感想を頭グリグリひねって考えてでも共有する頻度が増えてきたし、自分にとってポジティブなフィードバックになっているのを感じる。

どれだけ紹介した本が買ってもらえているかレポートをたまに眺めるのが、ささやかな楽しみになっている。