2023年 弱さへの旅

昨年の振り返りとして、強さへの旅という話を書いた。

uiuret.hatenablog.com

今年を振り返るなら、強さを目指すというよりも自分の弱さに向き合った1年だった。

相変わらず仕事は刺激が多いし、旅行は楽しい。

ただ今年のどこかで、いつからか、仕事と旅行以外の日常の空白に虚無を感じるようになった。いつからか、これまでの将来への漠然とした不安は、すぐそこにある不安になった。

今となっては総じてポジティブな気分で、悩みも含めて、心の風景を旅するようなものだったと思っている。

自己療養というか少しでもマシな気分で1日1日を生きるためにいくつかのことをやってきた。

寂しさや辛いことは、乗り越えなければならない山ではなく、それも一つの心象風景だ - 宇多田ヒカル

セルフ1on1

セルフ 1on1 と自分では呼んでいるのだけど、毎週の自分の状態を記録している。毎週土曜に、今週はどうだったか自分なりに振り返るためにやっている。

体調・メンタルを10点満点でつける。よかったこと・課題を記録する。

たとえば、こういうフォーマットで書く:

2022/12
week 1
- 体調 8
  - 朝起きれない
- メンタル 8
  - 仕事のストレスを感じている
- よかった
  - エネルギーが回復気味
- 課題
  - 方向性がわからない

よかったことを書くのは、人は物事をネガティブに捉えがちなので、意識的にポジティブなことを思い出すことでバランスを取るようにするため。

あれば、課題に感じていることも書く。日々の些末なことに追われると、本来やりたいことができてない状態によくなる。本来やりたいことをやる上で、ブロックしているようなことを書く。

課題は書かないこともあるし、気分が乗る日はその他の関係ないアイデアも書いたりする。

しばらく続けていると、体調を崩すパターンやメンタルが弱るパターンに気づけることがある。たとえば、気温が低下するときに風邪を引きがちとか、仕事のストレスを感じすぎるとあとでパフォーマンスが落ちるとか、そんな単純なことなんだけど、パターンに気づくと対策をできる。対策できなかったとしても、いずれメンタルは上がってくるだろうと思って、気が楽になる。

日記

週1の振り返りだと、1日の中の心の細かい変化を捉えられないことに気づいて、7月頃から日記を書いている。

元々は旅先で感じたことを記録するために iPhone でメモアプリに書き始めたことがきっかけだった。 大抵、シャワーを浴びたあとか寝る前に書いている。日中に思いついた言葉をリアルタイムに書き留めることもある。習慣化するために、iPad とワイヤレスキーボードを用意して、日記用デバイスとして使っている。

日記といっても、文章とも言えない言葉を自由連想的に書き散らしているだけで、虚空に向かって言葉を吐いている感じに近い。

年末の今、日記を読み返していると、日記を書いていて良かったなと感じている。

生きていると、毎日がプレイリストみたいな繰り返しのように感じることがある。そんなときに何ヶ月分か過去の日記を眺めると、繰り返しの中にも変化があるんだなとわかることがある。

ある日の日記を取り出してみると、こういうことが書いてある。

2023/07/04
熱で3日寝込んでいた
意思の力というのがまったくなくなる
目標とかなんとかそういうのがどうでもよくなってしまう
ただ寝てたいし映画でも見てたい気持ちになる
流れてくる情報をただ受け止めるだけの機械になってしまう

熱があったときの気分を思い出すのはむずかしいけど、日記を書いておくとどういう気分だったのかわかる。あとで読み返すと、苦しいときほどの日記ほどネガティブすぎて面白く感じる。

別の日を見てみる。比較的ちゃんと出来事を書いていることもあったり、思いついた言葉や本で見つけた言葉を唐突に書いていたりする。

2023/11/10
丁寧な生活とその破壊

今日も会社に行っていた
会社の月一イベントがあった
回転寿司マシーンで遊ぶのは楽しい
その後たくさん話して、何か思うことがあるはずだけど、何も思えない
比較的、気持ち的には落ち着いた日々を過ごしている

昼にインフルエンザワクチンを打った
綺麗なサウナの待合室みたいな雰囲気の場所
細い注射を打ってもらった

映画は、状況設定、葛藤、解決、だ

その日言葉にできなかった小さなモヤモヤした感情を回収しようと心がけている。

心にモヤモヤしたものがあるとき、どんな形でもいいからテキストにすると落ち着くことがある。

知っている人にとっては当たり前のことなんだけど、僕にとっては新しい発見だった。心の落ち着きを得るために、文章を書くことが増えた。

今年、旅行についてのブログを書いていたのは、旅先での混沌とした記憶を整理して頭の中に落ち着きを作るのが一つの目的だった。書き終えると、バックパックを置いて身体が軽くなった気分になれる。

運動

ジムに通っていて、2022年に書いたことを継続している。ある時点で筋肉を持つこと自体には興味があまりないって気づいたけど、メンタルの安定のためにただ続けている。

今でもまったく仕組みは理解できないけど、筋トレはメンタルの安定には一定の効果がある。

朝、 世界の終わりみたいな気持ちでジムに向かって、一通り運動をしたあと、家に帰ってくると平常心になってることもあった。

瞑想のような効果もある。身体を動かしていると走馬灯みたいに過去の記憶が流れてくることがあるけど、そのときに突然良い仕事のアイデアを思いつくことがある。

旅行の期間でサボることもあるけれど、日常では大体2年くらいジムに週2-3で通っている。

読書

さしあたり惹かれるものがなかったら、本を読むのもいい。本は自分自身の対話だ。 - 岡本太郎

逃げ込むように本を読んで過ごすことが多かった。特にやりたいことがない空白の時間と旅行の膨大な移動の時間があった。

これまで理解できずに投げ出していた思想書を、腰を据えて読むことが多かった。難しいと思える本を読むと頭のCPU使用率が100%になって、余計な悩みごとについて考えられなくなるから良い。難しい本に取り組むことで、何度も重ね塗りするように少しずつ理解を深めていくような本の読み方がわかってきたのが収穫だった。

まとめ

自分の強さだけでなくて、弱さに向かい合わなければいけないときがあるのだと知った一年だった。

生きていると悩みや苦しみは避けられないけど、少なくともその一部にはいずれなにかの価値がつく。そう思って時間をやり過ごすことができるようにはなった。

2024年に続く。