文章が書けない

文章が書けない。長いのは特に書けない。二つ以上の文をつなげて何かについて書こうとすると、とてつもなく時間がかかる。ブログにひとつ記事を書くのに何時間もかかる。仕事で5行くらいの簡単な報告を書くのに30分以上かかるし、すごく体力を使う。

小学生の頃は一日中かけて、400字原稿用紙の半分も書けなかった。まず、ある文に続けて次の文をどう繋げたらいいかがわからない。読める文章をつくるには、文と文の間にはなにか接着剤のようなものがないといけない気がするのだけど、どうやるとくっつくのかがわからない。10分かけて一つ文を書いてみて、次の10分で考えたあげく書いた文を消すのを繰り返してた。夏休みの読書感想文が地獄だった。本の文章をほぼそのまま書き写すという技を覚えるまで、毎年泣きながら書いていた。中学生になると、その倍の量の文章を書かされるようになった。難解なジグソーパズルのようで、頭からひねり出した言葉をひとつずつ慎重にはめ込む必要があった。

泣かずに文章を書けるようになったのは、高校生のときにTwitterやチャットをするようになってからだった。短い文はある程度の速さで書けるようになった。その頃から同級生の何倍か時間をかければ、読書感想文やレポートがこなせるようになった。

本を読んだり、ネットのブログを読んだり、文章を読むのは好きだった。気に入った文章を真似てみて書いたりするんだけど、次の一文を繋げようとすると途端に絶望的な気分になる。

口で言葉を話すのも苦手だ。思ったことを流れるように話すことができない。一言一言を脳から力づくで引っ張り出してなんとか話している。グレープフルーツからジュースを手で力強く搾り出すのをいつも想像している。仕事の会議で長く話すとクタクタに疲れる。

一通り書いたあとも目を通してみると文章としてなにか落ち着かないような気がして、言葉を消したり付け足したり、文を削ったりする。そうこうしている間に元の文章の半分くらいになってしまったり、あるときは全部消してしまったりする。川に一生懸命やって橋をかけては、爆破しているような気分になる。

ここまで書くのに何時間もかけている。脳にカフェインが回っているときはこうやってある程度書けたりするけど、ひどいときには1時間近くかけて140字しか書けない。生まれついて苦手なのは仕方ないから、練習したりして騙し騙しでやっていくしかないとは思う。

これは完全に僕が悪いんだけど、アドベントカレンダーの記事はこういう事情もあって結局書けなかった。「自分で書くと言ったのに、何言ってんだクソが」と言われるとまったくその通りで何も言い返せない。そうなると僕にはただ、路上で冷たいアスファルトと一体化することしかできない。

これはKMCアドベントカレンダー14日目の記事です。前の日はゼネコンを九ヶ月で辞めた話でした。 テーマからだいぶそれてしまったし、一ヶ月近く遅れてしまったけど、書かないよりマシということにしたい。