幸福の科学に行って女子大生にお茶を淹れてもらった話〜映画『神秘の法』感想〜

 映画『神秘の法』を観てきた。『神秘の法』は幸福の科学が制作したアニメ映画で、『ファイナル・ジャッジメント』に続く近未来予言映画第二弾という位置づけになっている。

 『神秘の法』を今回観に行こうと思ったのは、数年前に公開された幸福の科学映画『仏陀再誕』を観て宗教色の強い映画に興味を持ったからだ。商業主義に毒された映画とは違った独特の魅力がある。

 大学の教室にチケット引換券が配られていて、映画館の近くにある幸福の科学の施設に行けばチケットがタダで貰えるという情報を知っていたから、面白そうだからそこでタダ券を貰ってから映画館に観に行くことにした。
 フロイト好きの森の茂みのような髪型をした先輩と、マルクスを敬愛している爬虫類によく似た先輩の二人と一緒に行った。

タダ券を貰いに行く

 その幸福の科学の施設は駅すぐ近くの人通りの多い道沿いのビルの四階にあった。エレベーターを降りて入ろうとすると、ふわふわした感じの可愛い女の子が迎えてくれた。
 「神秘の法のチケットを貰えると聴いたんですけど」と言うと、すぐにチケットを用意するから中に入って座ってくれと言われた。教団の施設のイメージとは違って、保育園のような感じの可愛らしい内装だった。信者の学生が中心となって運営されてるらしい。絨毯とテーブルが置いてあるくつろげるスペースと大きな本棚のあるスペースがあって快適そうな印象だった。もうひとつ部屋があり、そこには一番前に祭壇があって講演や法話が行われるスペースもあった。

 若い女の子が三人いて応対してくれた。お茶を淹れてくれたのでモコモコしたカーペットの上で座って飲んでると、映画のチケットをちゃんと持ってきてくれた。名前とか住所とかを書かないといけないと思ったのだけど、何も書かなくとも言うだけで映画チケットを貰うことができた。映画まで少し時間がある感じだったので、座ってゆっくりお話をすることになった。

 応対してくれた三人の女の子は、全員女子大生らしくてその辺にいる可愛い女の子という印象だった。大学の話だとか『神秘の法』の話だとか色々な話をした。一人の娘は「『神秘の法』を観た後、手を広げて見ると手に金粉がついてた」と映画観た後の神秘体験について熱心に語ってた。幸福の科学に出会ったのは一年前で客観的に信仰を見つめて自分にとって一番良い信仰を選んだのだそうだ。

 可愛い女の子が話しかけてきて、ちやほやされる経験なんてなかなかないから大いに承認欲求が満たされた。先輩たちもなんだかすごく楽しそうだった。こちらにとってはこの経験が一番の神秘体験だったと思う。

 ひと通り話した後、本棚に行って総裁の著書を紹介してもらった。大川隆法総裁は1000冊以上本を書いてるから、どんな分野の本でもあるとのことだった。色々な質問をしてきてその答えに合わせて本を勧めてくるといった感じだった。

 「どんな分野の学問が好きですか?」と聴かれて「経済学」と答えると『もしケインズなら日本経済をどうするか』という大川隆法ケインズを降霊して書いた本を薦められる。僕は自己啓発の本とかイノベーションの本とかを薦められたりした。欲しい本は言えばなんでもくれるとのことで、僕は『創造の法』という本を貰った。家に帰った後、部屋の本棚の統一教会の教祖自伝と毛沢東語録の間に挟んで並べた。

 そうしてると映画の始まる時間が来たので、施設を出て映画館に向かった。帰る前に名前やメールアドレスを聴かれたりした。先輩は嬉しそうにメールアドレスを記入していた。

 普通の大学に通い普通にサークル活動をしている普通の人間が、信仰を持っており信者として熱心に活動しているという点が印象的だった。

映画の感想

 あらすじについては公式サイトを見て欲しい。
 簡単に説明すると、軍事独裁国家となった中国の皇帝に仏陀の生まれ変わりである主人公が神秘パワーで立ち向かうという話だ。

 内容が濃いせいだろうか、ストーリーが脈絡なく急スピードで展開する。脈絡なく急に物語が展開しても置いてけぼりを食らうことはない。なぜなら何が起こっても神秘体験として受け入れればいいからだ。

 殺される寸前でなぜかインドの仏教僧に助けられて仏陀の生まれ変わりだと告げられて以来、主人公は様々な神秘的事象に遭遇する。樹の下で瞑想するといきなり古来から日本を治める女神が現れる。あるとき瞑想すると目の前に金星から来た宇宙人が現れる。話は宇宙スケールまで拡大し、アーサー・C・クラークの物語を想起させるようなストーリー展開になっている。

 アニメ映画に一見似合わなそうなド迫力の3D映像も良かった。今作では人間が闘うことは少なく、ヤマタノオロチなどの召喚獣が闘うことが多い。アニメ映画なのに3Dモデルの阿修羅像が出てきて敵をバンバンなぎ倒すシーンは壮観だった。

 全体の主張は公式サイトにも書いてあるように「神秘の世界こそが本当の世界である」ということだ。霊界や奇跡などの神秘は実際に存在するのに、目に見えるものだけがすべてだと思って神秘を信じないことが現代の病だとも言っていたように思う。「神秘を否定する愚かな人間たち」を批判する演出にマルクスが出てきたから、上映終了後マルクスを敬愛する先輩はとても怒ってた。

 どれだけ楽しめるかは人によりけりだと思うけど、僕個人としてはとても楽しめた。参考までに一緒に観に行った人の評価は「つまらなかった」と「純粋に映画として面白かった」だった。ちょっとした前提知識があれば、誰でもSFアクションエンターテイメントとして十分楽しめるアニメ映画だと思う。ひょっとしたら神秘体験ができるかもしれない。