ケルアックのオン・ザ・ロード

ケルアックのオン・ザ・ロードを読んでいる。アメリカ中を放浪する話なんだけど、物語らしい出来事もなく本当に呑んだくれてフラフラするだけの小説。

小説の登場人物の生き方がすごく刹那的で自由なのが面白い。ほとんど金を持たずにヒッチハイクをしてアメリカを横断し、途中で働くもすぐに金を失い、親戚から送金してもらったりする。金を持ってる人間のことがほとんど書かれていないというのが印象的で、ヒッチハイカーやホーボー(あちこちを転々とする渡り鳥労働者のこと)の様子ばかりが描かれている。

金がなくて物も持ってないから貧しいはずなんだけど、生きる姿がとても自由でいきいきとしているように見える。生き方が自由すぎて、仲間が突然どこかから車を盗んできたりもする。バイト先で貯金の話をしていたのがなんだかとても間抜けな気分になった。

生活に必要なものが増えすぎて身動きがとりにくくなっているのを感じる。数年前まではこんなことはなかった気がする。基本的にパソコンとWi-Fiがあれば生きていけると思ったけれど、最近は細々なものが増えすぎて、スマホもいるしiPadもいるしヘッドホンもいるしカメラもいるし、、、リュックにはラッシュ時の通勤電車のようにモノがギュウギュウに詰め込まれてしまう。リュックが重すぎてどこにも行けない。生きるってのはこんなに重いことだったのかと感じる。

オン・ザ・ロード (河出文庫)